<フレスコ絵画コース>
フレスコ(fresco)は「新鮮な」と言う意味を持つイタリア語。西洋の壁画などに使用される絵画技法である。壁に漆喰を塗り、その漆喰がまだ「フレスコ」である状態、すなわち生乾きの間に水または石灰水で溶いた顔料で描く。イタリア、ルネッサンス期に盛んに描かれ、ヴァチカン市国のシスティーナ礼拝堂にある、ミケランジェロの「最後の審判」や、パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂にある、ジョットの「マリアとキリストの生涯」、フィレンツェのサン・マルコ美術館にある、フラ・アンジェリコ
の「受胎告知」などの作品がが例として挙げられる。失敗をした場合のやり直しが効かないため、高度な技術を必要とする画法。
フレスコ画の絵画技法にも色々あるが、その中でも基本的な「※湿式法」を用いて行われます。
※湿式法 (ブオン・フレスコ-Buon Fresco-)
「真の(正しい)フレスコ」。湿った漆喰の上に耐アルカリ性の顔料を水または石灰水で溶いたもので描く。漆喰が乾く過程で生じる消石灰(水 酸化カルシウム)の化学変化により、顔料は壁に定着する。媒材(バインダー)を用いないため顔料の発色が最高度に活かされ、顔料は壁と一体化するため高い 耐久性を持つ。漆喰が生乾きの状態で描かなければならないため、一日に描くことの出来る仕事量を計算して壁を区分し塗りついでいく。この区分を「ジョル ナータ(giornata=一日分)」と呼びます。
【構造】
支持体(絵を描く土台)
普通は煉瓦や石を組んだ壁などが支持体となるが、ここでは葦などを編んだカンニッチョと呼ばれる支持体を用います。
荒下地(アリッチョarriccio)
支持体の壁面を水でよく洗い、充分湿らせてから、粗い川砂と消石灰の漆喰を壁に投げつけるように塗りつけます。
中間層
アリッチョを乾かし(一週間程度)、アリッチョを水で充分湿らせ、川砂と消石灰による漆喰を塗ります。
下絵
中間層に、水で溶いた顔料で下絵を描く。下絵は全体像の確認と共に、ジョルナータの区分を明確にするために行われる。下絵の方法にも色々あるが、ここではスポルヴェロ(spolvero)と言う技法(原寸大の紙に書かれた下絵に針で穴を開け、その穴から顔料を透過させる方法)が用いられます。
上塗り/描画層 (イントナーコintonaco)
ジョルナータ分の漆喰を塗り、漆喰層が締まってきたら顔料で描き始めめます。
※漆喰が乾くと顔料の表面が炭酸カルシウムの皮膜で覆われ、顔料が壁に定着する。この技法により、顔料の発色が最高度に活かされ、壁と一体化することで、高い耐久性を持つ。描画層の漆喰はジョルナータ分だけを準備し、すばやく描かなければならないため、高い技術と経験が必要となります。
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